第10回全国中学生クラブチームカップ閉会の辞

   第10回全国中学生クラブチームカップが「無事に」閉幕をしました。決勝戦を実施できなかったことは「何事も無く」閉幕した訳ではありませんが、台風10号の危険性の中で、選手や関係者に「過失や事故が無く」終わることができたことは、「無事に閉幕」したと述べてよい最大の理由だと思います。特に、公共交通機関や施設が全て運休・閉館する中、実行委員会の皆様の判断で、子ども達の安全・安心を最優先に考えられた決断に改めて敬意を表します。屋内競技では稀なケースかもしれませんが、屋外競技では国体レベルにおいても、雨天による延期が重なり予備日を含む大会日程内で消化できない場合には、4校優勝などの事例は頻繁に見られます。第10回記念大会に栄えある優勝を飾られたチームの皆さまには心からお祝い申し上げます。

    決勝戦を戦えなかったことに対する残念な気持ちは、プレーする選手、応援する保護者、観戦するファン、どの立場であってもとても大きいものと思います。この試合のためにここまで努力を重ねてきたのにという選手・保護者・指導者の気持ち。日本における中学生年代のクラブチームがどのような技量を持ち合わせ、どんなプレーを見せてくれるのだろうかを楽しみにしていた観客・関係者の気持ち。その想いを叶えることができなかったことは大変心残りがあることでしょう。

    他方で、Championshipを決めることだけがスポーツの目的ではないということを、第10回記念大会に残すことができたことは、中学生クラブチームカップにとって、大きな大きな意義があることだと捉えています。スポーツにおいて勝ち負けが決まるということは最大のMotivationであるという「勝利主義」は、私も最も大切にしている考えですが、これが<勝つことだけが全て>という、昨今の行き過ぎた指導にも繋がる「勝利至上主義」に陥ってしまいそうなスポーツ界を鑑みたとき、スポーツを自らの意思で楽しく継続しようというコンセプトの基に10年の年月を重ねたこの大会において、1チームの最終勝者だけが讃えられるのではなく、全国各地でハンドボールを志す複数の仲間達が、チームを超えてともに喜びを分かち合える結果になったことは、私はこの大会の誇りだと思います。

   今年の大会、そしてこれまでの10年間の大会に、心血を注ぎ、ご尽力を頂いた全ての関係者の皆様に対し、改めて敬意の念を抱くと共に、感謝の気持ちに堪えません。

   これからも子ども達の未来のために、どうぞお力をお貸しください。

令和元年8月18日

日本ハンドボール協会

指導普及本部長

三輪 一義